お通夜や葬儀、法事などの際に、お悔やみの気持ちを表わすお悔やみ金を包む不祝儀袋。その不祝儀袋の表書きの書き方や中袋の書き方など、不祝儀袋のマナーを解説します。
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不祝儀袋とは
不祝儀袋は「ぶしゅうぎぶくろ」と読みます。一般的には「お悔やみ用のし袋」「お悔やみのし袋」あるいは「香典袋」などと呼ばれます。
中央には紐が結ばれており、これを水引きと言いますが、不祝儀袋の水引きは結び切りになっています。結び切りは、水引きを固く結んであって解くのが難しいので、葬儀など人生に一度きりにしたいお悔やみごとに使います。
不祝儀袋の水引き
お悔やみ事に使う不祝儀袋では、使う水引きの本数と色が決められています。
【色】 白×黒、白×銀、銀×銀、白×白まれに白×黄(関西)
【本数】2本、4本、6本など偶数
【位置】 向かって右側が濃い色
不祝儀袋の選び方のポイント
不祝儀袋を選ぶ時には、中に入れる金額にふさわしい袋を選ぶようにします。
例えば、数千円しか入れないのに袋ばかりが立派では違和感がありますし、高額の香典を包むのに略式の封筒タイプに入れても違和感がありますよね。
また、蓮の花の絵がついた袋は仏教でしか使えないので、先方の宗教がわからない場合は使わない方がよいでしょう。
不祝儀袋の包み方
市販されている不祝儀袋には略式の封筒タイプ(袋タイプ)のものもありますが、略式ではない不祝儀袋には正式な包み方があり、この場合は、中包みを紙の中央に置き上側を下側にかぶせます。
通夜・葬儀の表書きの書き方
表書きの書き方も、マナー違反にならないためのポイントがいくつかあります。
不祝儀袋の上段の書き方
まず、上段(水引の上の部分)の書き方から説明していきましょう。
本来であれば訃報の連絡を受ける時に先方の宗教を確認して、その宗教に合わせて表書きを書きますが、先方の宗教がわからないときに、たいていの宗教で使える表書きは「御霊前」です。
「御霊前」は通夜・葬儀だけでなく四十九日(忌明け)より前の法要でも用いられます。
ただし、浄土真宗に関しては「御霊前」は使えないので、通夜・葬儀とも「御仏前」を用います。
不祝儀袋の下段の書き方
次に、下段(水引の下の部分)の書き方ですが、下段には会葬者のフルネームを書きます。
いくつかケースが考えられますので、パターン別に書き方をご紹介します。
妻が夫の代理で会葬する場合
夫の出張などで、妻が代理で会葬する場合には「内」を小さく書き添えます。会葬者名簿の書き方も同様です。
夫婦連名で書く場合
夫婦揃って会葬する場合は夫の氏名だけでも良いのですが、故人とご縁が深かった場合には連名で出します。
法人の場合
会社名だけで香典を出すことはあまりありませんので、取引先の方が亡くなった場合は遺族に対して故人との間柄が伝わるように、会社名を書き添えて社長名で出します。
一行に収まらないばあいには、行を分けて書くことになりますが、氏名は中央にくるようにします。
また、上司の代理で会葬する場合には「代」を小さく書き添えます。会葬者名簿も同様の書き方です。 もし上司の名刺を預かっていれば、その上司の名刺の右上に「弔」と記し、左端か下隅に「上司の代わりにご会葬をさせて頂きます。○○○○」と小さく書き添えて受付に渡しましょう。
また、職場で連名で香典を出す場合、3名まででしたら、会社名を書いてから右から順に目上の人から目下の人へと書いていきます。
3名以上の場合には、表書きの中央に代表者の名前を書き、その左に他五名などと書きます。
部署単位の場合は「○○株式会社 総務部一同」などと書き、中袋に明細を入れましょう。
表書きは薄墨で書く
墨は、悲しみの涙で文字が滲んでいるという気持ちを表わすとされている薄墨を使いましょう。
基本的な書き方
基本的な書き方の見本をご覧ください。
不祝儀袋の中袋の書き方
不祝儀袋には、中袋または中包みと呼ばれる袋が入っています。
中袋には、中に入れたお金の金額や会葬者の住所・氏名などを書きます。
通夜・葬儀などで会葬者が多い場合に、香典袋から中袋を出して別々にすると、誰から受け取ったものかわからなくなることがあるかもしれませんので、書いてある方が丁寧ですね。
金額の書き方については、中包みの表面に書くという説と、裏面に書くという説があります。袋によっては、金額を書き入れる欄ができているものもあるようです。
また、数字の書き方については、難しい漢字を使うのがこれまでの慣例でしたが、普通の漢数字で書く方も多くなって来たようです。最近では金額を書く欄が横書き用になっているものも市販されていて、アラビア数字で書く場合もあるようです。(例:金10,000円)
筆記用具は筆を使うのが正式な作法ですが、筆ペンでも良いでしょう。
下の絵は中袋の書き方の一例です。
中袋に入れるお金について
香典の金額の相場
故人とのおつき合いの深さや、自分(贈り主)の年齢によってさまざまですが、目安として香典の相場金額をご紹介します。
中に入れる金額は、死や苦を連想させる数字として、四や九がつく金額は避けるのが一般的です。
3千円、5千円、1万円、2万円、3万円、5万円、10万円など、キリの良い金額にしましょう。
もし、事情があって通夜・葬儀に出席できない場合や、遠方などの理由で郵送する場合は不祝儀袋ごと現金書留封筒に入れて送ります。郵送の時は、お悔やみの言葉を書いた手紙を同封するのが丁寧です。
注意点
お札の選び方・入れ方のマナー
新札は「まるで訃報に備えて前々から用意していたようで失礼にあたる」という理由から不祝儀には向かないと考えられています。
かといって、汚れたお札やしわだらけのお札を用いるのもマナー違反です。
また、お札には表と裏があります。
お札は顔がある面が表ですので、裏面が表に向くように入れるのが慣例のようですが、これも地域によって諸説あります。
ただ、2枚以上になるときには同じ向きになるようにしましょう。
まとめ
不祝儀袋の書き方について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
故人を偲ぶ気持ちこそが何よりの供養かとは思いますが、ご遺族に対するマナーあってこそ本当の供養につながる気がします。不祝儀袋の書き方もマナーの一つとして、参考にしてみてください。